黒服の花形業務とも言われている「付け回し」。地域やお店によっては「付け廻し」と書いたり「指名係」や「ラッキー」と呼ぶこともあります。
付け回しの上手い黒服は幹部候補に抜擢されることもあり、昇給のチャンスに繋がります!
それでは、付け回しとはどんな仕事なのか、どのような手順でやればいいのか、どうすれば成功できるのかを解説していきましょう。
水商売での「付け回し」とは、キャストを「付け」たり「回し」たりする仕事。キャストがどのテーブルにつくべきかを判断し的確に指示すること、またはその仕事を担当する人を指します。キャバクラの場合、ホール業務とキャスト管理に慣れてきた黒服・ボーイが担当します。
具体的には、来店したお客様の雰囲気を見て、「この人は落ち着いた女の子とゆっくり飲みたいタイプかな?」「あのグループは喋り好きのようだからノリの良い子が合うな」など、お客様・テーブルの雰囲気にマッチしたキャスト(キャバ嬢)を配置するのが付け回しの仕事内容です。
最適な付け回しができる店はお客様の満足度が上がりますし、そのままオーダーや場内指名が増えればお店の売り上げもキャバ嬢のお給料もアップ!
2015年頃までは付け回しを「ラッキー」と呼ぶことが流行っていました。その理由も、付け回しが上手い店はキャバ嬢が稼げるのでラッキー!というのが語源。それほど店の営業において重要な役割なのです。
目の前の仕事をひたすらこなすホール業務に比べ、付け回しは人を見て頭を使いながらテキパキと指示する業務で、数字にも現れるので非常にやりがいがあります。
店長や先輩に「そろそろ付け回しやってみる?」と言われたら、日頃の仕事ぶりを信頼されているということ!スマートに期待に応えられるよう、付け回しのやり方を把握しておきましょう。
①どんなキャストが何人出勤しているのか、シフトを把握
派手系や清楚系、大人っぽいお姉さんタイプや、元気な盛り上げ上手など…… お店にどのようなキャラクターのキャストが所属しているのか理解していなければ、上手い付け回しはできません。積極的にキャストとコミュニケーションをとり、個性や雰囲気を知りましょう。
今日はどういう子が出勤しているのか、しっかり把握してから業務に挑みます。
②ご来店のお客様が本指名・フリーのどちらなのか確認してから、お客様を観察
フリー客を指名客に変えることが売上アップの鍵。フリーのお客様に多くのキャストを回すことで、好みのキャストにあたる確率が上がります。
指名のお客様には、指名が被った場合の対処を考えなければいけません。ヘルプには指名キャストと似ているタイプや、お客さんの寂しさを紛らわせるようなトーク上手をつけるのが無難ですね。
おとなしいか賑やかか、お金を持っていそうか、酔っているかなど…… さりげなくお客様を観察しながら、相性のいいキャストを頭の中でリストアップしましょう。
③1テーブルに3〜4回、席の雰囲気に合わせてキャストをチェンジ
チェンジの目安は15分前後ですが、これはあくまでも目安。席が盛り上がっていたらしばらく楽しませ、盛り下がるようなら別のタイプのキャストを付けるなど、場に合った対応が必要となります。
また、キャストがドリンクをもらった場合、飲み終わるまでの数分間はそのキャストを付けたままにするのが最低限の黒服マナーです。臨機応変に調整しましょう。
④テーブルの時間管理・延長確認
1セット(50〜60分)の残り時間を考慮しつつチェンジを続け、お客様が楽しそうにしていたら延長交渉のお声掛けも行います。
★お客様の顔色・楽しんでいる仕草を見逃さない
・キャストに身体を向けている
・顔を見ながら喋っている
・お酒を飲むペースが上がっている
・笑顔が多い
こうしたお客様の仕草は、キャストとの会話を楽しんでいるサイン。見逃さないように随時テーブルに意識を向けましょう。
多く見られるようなら積極的に延長交渉ができますし、逆に不満そうだと感じたら早めにチェンジしてタイプの違う子を付けます。この判断のスピードが重要です!
★延長上手なキャストに活躍してもらう
ナンバー入りの人気キャストや、延長率の高いキャストを把握しておくことで、効率的に延長を獲得できます。
フリーの場合、一度盛り上がっていたキャストを終盤にもう一度付けるのも効果的です。
残り時間を見ながら、終了間際に良いキャストを付けることで「ここで帰ったらもったいないかも」と名残惜しい気持ちにさせましょう。延長と場内指名のW取りを狙いたいですね!
★お金の流れを読んで売上アップ!
積極的に延長や場内指名を入れてくれるような、気前のいいお客様の気配を察知するとさらに効率アップ。服やアクセサリーの質や、入れるドリンクの価格帯などをよく観察しましょう。
また、団体さんなら誰がお金を払う人かを見るのも重要です。テーブルで一番偉そうな人・最後にお会計をする人を見抜き、そのお客様好みのキャストをつけることで延長に繋げましょう!
★指名被りの席は離して配置するのが礼儀
本指名が被っているお客さんの席は離すようにします。自分が指名したキャストが楽しそうに飲んでいるのが見えたら…… 嫌な気分にさせてしまいますよね。
お手洗いなどの導線上から見えないかも意識し、不快にさせない席配置を心がけるのが黒服としての礼儀です。
トラブルなどでどうしても隣同士になってしまった場合、謝罪をし割引などをご提案しつつ、席を移動していただけると良いですね。
お客様からは「早く指名の子を戻してよ」と、指名されているキャストからは「あのお客様は苦手だからなるべく付けないで」と言われてしまうなど、板挟み状態で双方のご機嫌を取らなければいけないシチュエーションもしばしば起こります。
また、よくあるキャストからのクレーム例として「なんでいつも相性の悪い客に付けるの?」といったお客様との組み合わせの問題や、「私はお酒弱いのに飲ませる客にばかり付ける!」のような体調面の問題などもあります。キャストの気持ちも大切にしつつ指示できるのが、本当の上手い付け回しです。
大抵のお店では、営業中は付け回しの司令が絶対。だからこそ指示が押し付けのように感じられてしまうと、不満が溜まって人間関係のトラブルに発展します。最悪、人気キャストが店を飛び出すような結果にも繋がりかねません。
日頃のコミュニケーションを怠らず、信頼関係を築いておくことが大切ですね。
★まとめ★
日頃からキャストたちのことをよく知っておかないと、任されたときに困るわよ。
プライベートでもキャバクラへ遊びに行くと、良い勉強になるんじゃない?」
付け回しの難しいところは、確実に成功するマニュアルが存在しないこと。
その日のシフトとお客様、その時間のキャストの調子やお客様の機嫌など、様々な要素を臨機応変に分析しなければなりません。
キャストはお客様の表情を近くで見ていますし、黒服以上に接客のプロですから、付け回しに慣れないうちは「あのお客さんどんな感じ?」とキャストに直球で聞いてみるのも手段です。
また、自分自身も繁盛しているキャバクラ店へ遊びに行き、お客様の気持ちや目線を体験してみるといいかもしれませんね。
キャストと黒服の関係が和やかなお店や、新人教育が充実しているお店なら、付け回しでのトラブルを最低限に抑えられるはず。
応募の時点で雰囲気の良いお店探しができていれば、よりスムーズに稼げる黒服に成長できますよ!